早くて正確で疲れる接客 VS ゆるくて適当で疲れない接客
たったいま、ソフトバンクでiPhone12に機種変更してきた。5G対応らしい。5Gのことはあんまりわからない。けど、なんか最新のモノを手に入れた優越感があって嬉しい。
あと青色にしてみた。これまで黒一点張りだったので、新しい世界だ。あと「えっスマホ青じゃん!なにそれiPhoneなに〜?」っていう質問がきやすくなるだろう。6月からの新しい職場で出会う、新しい人たちとの話題にもなるかも。嬉しい。
そんなことより、ソフトバンクで接客を受けて
中途半端に知識を持っている接客担当者ほど、
お客さんに不快な思いをさせやすいのかな。
と感じる体験をした。
入店して最初に接客してくれたのは、いかにも仕事ができそうな長身で顔も身体もシュッとしたメガネの男性(Aさんとする)。黒スキニーで女性と間違えるほど脚がほっそい感じ。
おお、この人はできるそうだ。なんて思いながら説明を受けはじめた。ハキハキとスピーディに、無駄なくグイグイ話す。自信があるのかパンフレットも開かず、手書きで説明をしている。うん、すごそう...。
でも、違和感があった。
僕( なんか疲れるなこの人の接客... )
という感覚だ。さらに追い討ちが。
僕「あの〜ここの部分もう一回説明してもらえませんか?」
と質問すると、Aさんから(は?いま説明したじゃん面倒臭っ)という表情が垣間見えたのだ。そのまま高圧的な口調で、ビャっと説明してくれてスッキリ理解はできた。でも、なんかイヤな感じだ。
すると突然、裏っ側にいた店員に呼ばれてどっかに行ってしまった。帰ってくると、
Aさん「申し訳ございません!ご指名が入ったので、担当代わらせてもらいただきます!!」
好感度が低かったからかもしれないが僕の目には、(僕はデキるので指名されちゃいましたよ)的なドヤった顔に見えてさらに不快になった。
そしてすぐに現れた代わりの担当者は、少し眠そうな表情に見える背の低い女性(Bさんとする)。「研修生」という大きな文字が書かれた名札をつけている。
Bさん「急で申し訳ございません。代わりに担当になります〇〇です。よろしくお願いいたします。」
自信もやる気もなさそうなテンション。でも、マイペースでありのままという感じ。
僕( あー急いでるわけじゃないし、こんな感じの人の方が嬉しいな... )
と思いながら接客を受ける。基礎的な知識以外は、ほとんどないんだろう。まず真っ先にパンフレットを手に取り、わかりやすい図が載っているページを開いて見せてくれる。
僕(えっこれ見たら、もう大体わかるな...Aさんの手書きは必要だったのか... )
そのあとは、ゆるふわ接客が続く。
Bさん「わたしも最近iPhone12に変えたんです〜。miniで小さいんですが触ってみますか?」
Bさん「5Gとかあんまり便利かわからないんですけど、たまに繋がってテンション上がりますね(笑)」
最低限のことはきちんとパンフレットで場所を示しながら説明してくれる。わからないときは「少々お待ちください」と言って、すぐに調べて説明してくれる。
僕(これくらいゆるくていいなぁ俺は... )
結局、なんの問題もなく気持ちよくiPhone12に切り替えて店をあとにした。
帰り道で考えた。
僕(あのまま担当変更がなく、Aさんのままだったらどうなってただろう...理解はできてもなんか気持ち悪いだろうな...今日は機種変してない気がするな... )
少し脱線する。ほんとうに頭の良い人は、説明する相手が、
・なにを理解していないか
・どんな風に説明してほしいか
・どんなペース配分が適切か
を瞬時に見極めて、その場で実行できる。的なことは大体のビジネス書で説明されている。
僕のAudible史上いちばんお気に入りの本、『仕事は楽しいかね?』に出てくる、謎のおっちゃんが最たる例だ。
仕事も生活もうまくいかない中年男性に対して、
・君が悩んでいるのは本当にそれかね?と問題の本質を探ったり、
・何度も何度も具体例をだして説明に厚みを出したり、
・よし、ここら辺で一旦休憩といこうか!とペース配分したり、
伝える内容は置いておき、とにかく伝え方がすこぶる上手いのだ。
これは読むではなく聴くスタイルのAudible特有の発見かもしれない。聴いたことがない人はぜひ試しに聞いてみてほしい。
それを踏まえて、AさんとBさんの接客を振り返ると、
相手を相手が望む方向へ導くために、
意外と見落としやすいが欠かせないポイントが見つかった。
①相手とって最適なペース配分をすること
②相手が腹落ちできる説明に厚みを持たせること
自信満々の男性店員Aさんは、自分にとっての当たり前が、相手にとって当たり前じゃない。という前提を持っていないように思えた。
自分はデキる!という自信が、「すぐにお客さんを理解させているはず!」という根拠のない不要な自信(というかプライド)になっていた気がする。
だから自分のペースを信じてスピーディに進め、「お客さんを置いていっている」ことに気づいていない。
また、「まだ説明不足があるんじゃないか?」という丁寧さ・謙虚さが足りないため、ぶっきらぼうな説明をして、冷たい表情をのぞかせてしまうのだ。
明日は我が身と思っておく。この教訓は対人コミュニケーションのすべてにおいて活かせる。
ちょうど明日は、父と話す。「ソフトバンクからYモバイルに変えたいけど、なにもわからん!」状態の父は、ウルトラ機械音痴(クラウドという言葉を宇宙人の言葉だと思っている)だ。
相手目線をキープしよう。前提の足りなさ、理解の難しさをしっかり見極め、ペース配分をしながら、厚みのある説明をしていこう。